FINAL STAGE 永遠のダーク 


丸々「俺はただ君を手に入れるためだけに生きてきた。」

丸々中学生ながらに警官たちの上に立ち、怜さまは日渡警視長の元で
丸々ダークをねらい続けてきました。

丸々義理の親子であることを差し引いても、どこかぎこちない関係だった
丸々ふたり。しかし
、シリーズの最後に、かつては警視長とおだやかな
丸々親子の時間を過ごしていたことが描かれました。

丸々そのときの怜さまは一見、後ろで見守る警視長には、何も興味のない
丸々ような顔をして絵を描いています。

丸々しかし、シリーズの各所にあったふたりのドラマ…警視長の行動に
丸々不審感を抱きながらも、
彼の「父親らしい」やさしい言葉に揺さぶられ
丸々ていた怜さまの姿を見ると、
何かを感じていないわけがありません。

丸々いつも慎重に行動を選んできた彼が、宿命に決着をつけるために
丸々自暴自棄ともいえる手段を選んだ裏側には、前回の決定的な裏切り…
丸々警視長が自分ではなくクラッドを選んだことが強く影響していたのかも
丸々しれません。

丸々自分のすべてを捨ててクラッドを止めようとしていた怜さま。

丸々実はそれは、自分とのすべての関係を利用し、断ち切ってでも
丸々命を得ようとしていたクラッドの
行動と、本質的には同じこと。



丸々けれど、怜さまには「普通の中学生」として過ごしていた時間がありました。
丸々多くの人々に囲まれている中で、彼のことを見ていてくれたひとは確かにいました。


丸々いつしか怜さまにとって、「因縁のある丹羽の一族」という以上の存在になっていた丹羽大助。


丸々彼は「氷狩一族との確執」も「黒翼」のことも、今いる場所も関係なく、同じ14歳の少年として
丸々…そして同じように翼を持つ痛みを知った者として、
怜さまに心をぶつけました。


丸々第1話の頃の彼は、シミュレーションしていたことと現実とのギャップに打ちのめされる「弱さ」を持っていました。

丸々でもそれは、本当は誰に対しても相手を尊重して接することができるという「強さ」でもあることが
丸々シリーズを通して描かれてきました。

丸々ずっと相手のことを思いやって、梨紅に対してさえも気を遣いすぎて電話をためらっていたような彼が、
丸々初めてひとの心に自分から強く入りこみました。


丸々生きていれば出会えるんだ。日渡くんがいて良かったって感じてくれる誰かに会えるよ。絶対。


丸々瑪瑙や、フリーデルト、そしてみおのように想いを伝えられないままにいなくなってしまったひと。
丸々美咲の父、綾香、ビアンカのように、残されてしまったひと。

丸々大助が見てきた…そして経験してきた数々の「別れ」という経験を通して生まれたことば。
丸々そのことばを聞いた怜さまが流した、心の中の氷が溶け出したような涙。

丸々クラッドの動きを止めて、警視長へと向けた「さよなら…」という声は、これまでの苦悩も警視長のことを「あの男」と、はき捨
丸々てるように口にした怒りも、
すべてが洗い流されたような、おだやかな響きを持っていました。

丸々警視長が「父親」として、最後につぶやいた彼の名前が
丸々その耳に届いてくれていたらいい。そう願います。



丸々「決戦直前、梨紗はダークに、「おばあちゃんを愛してくれて
丸々ありがとう」と、告げました。

丸々おそらく梨紗に会って、それを聞かなければ、悲しい別れという
丸々記憶のまま…
心残りのある状態でダークはクラッドと戦うことに
丸々なっていました。

丸々彼が梨華を愛してくれていた事実。
丸々手紙に残っていた梨華の愛。

丸々ふたりの想いを知っていた梨紗だから、告げられたことなのかも
丸々しれません。
丸々自分のためではなく、梨華のためだけでもなく、
丸々ふたりのために。



丸々「大助がいたから本当の意味で生きることができた」

丸々ふたたび姿を見せたみお。
丸々警視長の行動を「止める」のではなく、彼のことを「救う」という
丸々意味合いが強いのが印象的でした。

丸々…彼女が儀式を行おうと暗躍していたことには
丸々人間になるためという目的以外にも、
丸々
警視長の役に立ちたい」という純粋な想いもあったのかもしれません。

丸々「誰かを犠牲にして命を得る」ことに悩んでいた彼女は、心から自分以外の人間を救い、そして自分の想いを
丸々原田姉妹に託して消えてゆきました。



丸々誰かに「会う」こと。
丸々会えば、お互いの「会いたい」という想いを伝え合うことができる。
丸々それはまた反対にお互いを傷つける合うことにもなりうること。

丸々そしてそれだけではなく、会うことで、そこにはいない誰かから受け取った想いを伝えたり、
丸々誰かへ宛てた想いを受け取ることもできます。
丸々FINAL STAGEでは、より大きな想いをつなぐ「出会い」…
丸々「生きて、会うこと」が、とてもたいせつに描かれているように感じました。

丸々すべてに決着がついた後、大助に肩を借りていた怜さまは、よろめきながらも自分の足で立ちました。
丸々そして生きることを楽しむことを、決意というほどに深刻ではない、それでも心から思っていることばを、
丸々おだやかな笑顔でとなりにいる「友達」に話しました。

丸々朝日を浴びる大助と怜さまのもとへ駆けつけた梨紅と梨紗。
丸々「見つけたよ」と、喜びを告げる梨紅。その言葉は、相手にとって「大切なもの」を見つけてくれたことでもあり。
丸々大助にとっての大切なひととはつまり…。

丸々ダークと、大助と深く関わってきた梨紗と怜さまは、ごく自然に視線を交わして。

丸々ふたりとふたりが、これからより深く想いを寄せ合いながら生きてゆけるような、
丸々そんなあたたかい予感に満ちていたラストシーンでした。


丸々そして。


丸々「明日になれば元気になる。」

丸々「また明日、会いたい。」

丸々今日、そして昨日までにつらいことがあっても、
丸々明日になれば、今日とは違う朝が始まります。

丸々「今日はいいぞ。」

丸々朝になれば、何が起こるかわからない今日に向かって、笑顔で走り出すことができます。

丸々そんなあたりまえの日々の中で、魔力や呪いなど使わなくても、
丸々ひとりひとりの胸の中に自然に宿ってゆく、もうひとりの「自分ではない誰か」。


丸々「僕の中にダークはいる。」

丸々大助とダークは最終的に同じ想いにたどり着きました。


丸々自分が生きてきたことを、いなくなった後も覚えていてくれる「誰か」。


丸々その誰かとの出会いは、ことばや美術品、町の姿など、さまざまな形で、
丸々親からこどもへ、友から友へ、恋人から恋人へ、さらにはまだ見ぬ誰かのなかへと受け継がれてゆきます。

丸々「永遠」に。